天気予報では滞在期間中はずっと小雨か中雨だったのだが、起床すると晴れていた。
粥の朝食をとってから組み立てにかかる。
Mk IXは梯子部分を5分割し、ボルトで連結するようになっている。
これに前後ピースを装着してラッシング固定した後、各々4分割したキールとチャインを装着する。
分割したキール、チャインは木材のかみ合わせとジュラコン(POM)のピンで固定して一本にし、リブにポリ紐で装着する。
この遠征前に久しぶりに組み立ててみたのだが、上海の文房具屋で買ったポリ紐は非常に弱い。
指でテンションかけたまま、指を滑らせる動作が必要なのだが、これをやるとすぐ割けて、枝毛のようなものができてしまう。
通販でポリ紐を新調したが、原料のポリエステルに再生品を使っているものと、バージンのものを使っているものがあるようで、バージン品を買ったところ明らかに強度が高かった。
ラッシング時に、紐を切る刃物が必要なのだが、高速鉄道には危険品は持ち込めず、ハサミも危険品とみなされる。
対策として、先のとがっていない鼻毛カット用の小さなハサミを購入して持ってきた。
日本円で200円程度のものなので、取り上げられても惜しくない。
いつも使っている手動膨張式のPFDも、CO2ボンベが危険品とみなされるため、ウレタン浮力のPFDを購入。
ちなみに高速鉄道には折畳であっても自転車は持ち込めないので、輪行はできない。
梱包時の緩衝材に使った発泡ポリエチレンがスターンにピッタリ収まるので、浮力体替わりに入れておく。
宿の部屋を行ったり来たりしながら組み上げるだけで汗だくになり、完成は昼前になってしまった。
目的地あっての漕行はもとより考えておらず、とにかく漕ぎたいだけだったので慌てない。
浜までは徒歩6分程度。カートは使わず、担いで運んだ。
11時半、ついに念願の出艇。
Qajaqはもしかするとこの国初かも。
水は残念ながら茶色。だが、水質自体は悪くない。
浜の前は漁港になっていて、埠頭は無く、漁船は洋上に停泊している。
漁船までは竹と発泡スチロールでできたテンダーで移動している。艪を装着できるようにしてあるが、竹の棒をグリーンランドパドルのように漕ぐものも多い。
漁船群を突き抜けていく際に、文句を言われるかもしれないと心配していたが、大丈夫だった。
何か話しかけてくる漁師もいたが、たぶん文句は言っていないだろう。
まあ、何を言われているのかは全くわからないのだが。
この艇はもともとロール競技用に作ったもので耐久性は正直不明。
しばらくは、できるだけ岸よりをそろそろと漕ぐ。
チュイリックの背中側の裾は、水を受けてコックピット内に沈みこむもので、これをたまに引き出してたまった水を排出するのだが、この際、裾が外れていたことに気づく。
幸い浸水はあまりないようだが、大事をとってすぐ隣の浜に上陸。
バックレスト直後のストラップの接着がはがれている。
この先、どんどん剥がれる予感がする。本来、接着後に縫うつもりではいたのだが、初期接着強度がかなり高かったため、縫わないままでいた。
シリル化ウレタン系の接着剤で、接着後すでに2年経過しているため、経時劣化していたのだろう。
上陸、水抜き後、対岸の島へ。
全く無人。ファーストトラック。
距離的には非常に短いが、ついにこの国で漕げたことに満足し、漕ぎ戻る。
14時、帰着上陸。
(GPSは怪しまれる可能性があるので、Google MapのTimelineにTrackを記録した。)
(Google Mapはひと手間かけないと使えない、地図表示では測地系が違うのでずれてしまう。航空写真ではずれはない)
ストラップは剥がれまくっている。
水を吸ったカヤックを担いで運ぶのはしんどいので、一度宿の部屋に戻って涼んでから、カートをもって戻る。Travoyはカヤックカートとして十分に使えた。通常のカヤック専用カートより車輪径が大きいので、楽に牽ける。
自重は重く、艇内に収納もできないが、今回の用途には最適だった。
部屋に戻り涼むはずが、電気が来ない。
この部屋だけかと思ったが、従業員に聞くと地区一帯が全停とのこと。
現在復旧中で、夜8時頃には復電するということだが、どこから得た情報なのか不明。
エアコンは使えないが、窓を開ければ気持ちい海風が入ってくる。
しかし、蚊も入り放題。蚊取り線香が備え付けられているものの、電気式で使えない。
部屋にいても仕方がないので、サバイバルキットに入れてあったボタン付けセットの針と糸でストラップを縫い付ける。細い糸で、長さも足りず、十分に縫えないが何もしないよりはまし。
結局、8時になっても復電せず。
宿の食堂には電気が点いているが、発電機によるもので、停電のため閉店中。
だが、食堂のおやじに賄い飯をすすめられ、遠慮なくいただく。
蟹、蝦蛄の高級賄い飯。ビールもごちそうになる。
このまま白酒まで行っちゃおうかと思ったが、翌日も漕ぎたいのでやめておく。
部屋に戻って暑さに耐えていると、食堂のおやじからWeChatでお呼びがかかる。
降りていくと当のおやじは長椅子で寝ていた。
ビールを数本買って、だらだらする。
22時になっても復電しないので、あきらめて部屋に戻る。
モバイルバッテリーは使い切り、PCの電池残量も心細くなってきた。
Wifiは使えないのでスマホとテザリングしたPCで明後日の集荷を予約する。
0時頃、復電。やっとエアコンが使える。